Twitterのタイムラインを眺めていると、@syonbori氏がTXの運賃が高いという趣旨の発言をされていてびっくり。というのも、北総鉄道や東葉高額高速鉄道の失敗を繰り返さないために建設費の大部分を無利子で調達し、また建設費の圧縮・ワンマン運転の実施といった工夫で十分な競争力を持つ運賃を実現した、というのがつくばエクスプレスのポイントの1つとなっているからです。
とりあえず他社の運賃と比べてみましょう。まずJRグループ、運賃が安い会社の代表として東京急行電鉄、逆に運賃が高い会社の代表として北総鉄道、そして関東の大私鉄にしてミニ国鉄とも言われた東武鉄道を取り上げます。
うーん、下の方が込み入っていてちょっと見づらいですね……。
JRでは会社や区間ごとに異なる運賃が設定されているのですが、ここでは基本となる本州3社の幹線運賃と電車特定区間(東京)を取り上げています。
JRの運賃には基本となる1kmごと金額(基本賃率)が定められていて、基本的にはこれに従って増加していくのですが、実際に運賃を計算する場合は乗車キロ数に従って、10キロまでは個別設定、それ以降は50キロまで5キロごとに増加、100キロまで10キロごと、600キロまで20キロごと、それ以降は40キロごと、というようにきりがいいキロ数ごとにまとめられています。
幹線 | 電車特定区間 | |
---|---|---|
1~300キロ (第1地帯) | 16.2円 | 15.3円 |
301~600キロ (第2地帯) | 12.85円 | 12.15円 |
601キロ~ (第3地帯) | 7.05円 | - |
たとえば東京から大阪まで乗車する場合は556.4キロ、これは20キロごとに運賃が変わる範囲になるので541~560キロの平均値である550キロを用いて、300*16.2+250*12.85=8072.5、10の位を四捨五入して8100円、5%の消費税を加えて8505、1の位を四捨五入して8510円となります。
次は東武ですが、運賃表を見ると賃率こそ違えどなんだか国鉄→JRとそっくりな運賃体系ですね。基本的にはJRと同様だし、運賃も近距離ではJRと大差ないのですが、300キロまで一定割合のJRに対して、距離が伸びるに従ってじわじわと賃率が下がっていくようです。
それが、東急クオr(以下略)。人口が多いところばかりを走っている上に比較的短距離ということもあり、大手民鉄の中でも低廉な運賃になっています。
北総高額鉄道、なんて揶揄されることもある北総鉄道ですが、運賃を調べてみると確かに高い。というかここまで高いとは…そりゃ運賃が高い→乗客が増えない→運賃を下げられない→以下省略、の悪循環に陥るわけです。
北総の運賃は11キロまでは2キロごと、それ以降は3キロごとになっているようですが、加算される金額にはばらつきがあるように見えます。それにしても近距離区間はぶっちぎりの高さですね。
最後に問題のつくばエクスプレスの運賃。初乗り3キロ160円、そこから15キロまで2キロごとに40円ずつあがっていき、16キロ以降は3キロごとに50円ずつあがっていくというシンプルな運賃体系になっています。きりがいいキロ数ごとに上がっていく運賃体系より合理的ですね。
つくばエクスプレスの基本賃率は特に公表されていないと思いますが、運賃表を見れば15キロまで20円/キロ、それ以降は約16.67円/キロであることは明らかです。これをJRの基本賃率と比べると、15キロまでの近距離区間はかなり割高ですが、それ以降の区間は消費税を考慮するとなんとJRの幹線運賃より安く、電車特定区間の賃率と比べても3.75%増でしかありません。確かに、グラフからも距離が伸びるに従って徐々に差が詰まっているのが読み取れます。したがって、高いと言って利用区間を短くしようとすると、かえって割高な運賃を支払うことにもなりかねません。ご利用は計画的に。
もっとも、大手民鉄と比べてしまうとさすがに高いし、定期券ではさらに割引率の差も加わるので差が開くことが予想されますが……。
結局高いのか安いのか、という話ですが、JRとの比較なら「近距離は高いけど遠距離はそうでもない」、大手民鉄との比較だと「ちょっと高いかも」、最近できた鉄道としては「割と安い」という感じでしょうか。なんだか煙に巻いたような結論になってしまいましたが、例えば北総や東葉高速を普段使う人だと「安くてうらやましい」、逆に東急沿線の方だと「たけーよ!」というように、普段使っている鉄道会社・路線によって感じ方はだいぶ変わるのではないでしょうか。
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